電子回路に欠かせない存在、それが「オペアンプ(オペレーショナルアンプ)」です。
一見難しそうに聞こえるこの部品、実はとても賢くて便利な“アナログの頭脳”なんです。
この記事では、オペアンプの基本動作・仕組み・用途を初心者向けにやさしく解説していきます!
オペアンプとは
オペアンプとは、2つの入力の「差」を増幅する電子部品のことです。
正式名称は 「Operational Amplifier(演算増幅器)」
演算(加算・減算・積分・微分など)をアナログ信号で行えるのが特徴です。
用途 | 内容 |
信号の増幅 | 小さな音声やセンサの信号を扱いやすく |
フィルタ | ノイズ除去や特定の周波数だけ通す回路に |
比較器 | どちらの電圧が大きいかを判定 |
加算・減算 | 入力電圧を計算する回路(演算)に使える |
なぜ必要?
微小な信号を大きくする(増幅)ため。
センサやマイクの信号は非常に小さいく(マイクロボルト〜ミリボルト)、センサの信号をそのままデジタル信号へ置き換えすると信号が歪んだり、ノイズが乗ったり、信号が大きすぎる場合があります。
オペアンプを使えば、それらの信号を扱いやすい電圧(1Vや5Vなど)へ適切に増幅できます。
※電源電圧以上の出力を出すことはできません。
~~「オペアンプは音に反応する自動ボリューム装置」~~
先生(信号)がマイクに向かって話す
⇩
マイクの声がとても小さい(これが「入力信号」)
⇩
それを聞いたオペアンプ君が、「おっと、声が小さいぞ!」と察知
⇩
そして、その差(どれだけ小さいか)に応じて、自動でボリュームを上げてくれる
⇩
生徒(回路の後段)は大きな声で聞こえる(これが「出力信号」)
この「差を感じて、それに応じた出力を出す」ことが、オペアンプの増幅ロジックです。
反転入力と非反転入力

2つの入力の「差」ってなに?

非反転入力(V+)と反転入力(V-)の差です。

非反転入力?反転入力?呪術〇戦のことですか?

入力端子のことで、信号が入る場所です。詳しく説明しましょう。
非反転入力(V+)には以下を接続します。
- 反転増幅回路の場合、グランド(0V)に接続。
- 非反転増幅回路の場合、入力信号を接続。
反転入力(V-)には以下を接続します。
- 反転増幅回路の場合、入力信号を接続。
- 非反転増幅回路の場合、オペアンプ(自分)からの抵抗を通じた出力を接続。

反転増幅回路?非反転増幅回路?ちょっと何言ってるかわかんない。

反転増幅回路や非反転増幅回路は、そのオペアンプを「どう配線して使うか」の方法や回路設計の名前になり、目的によって使い分けます。
目的 | 使う回路 |
入力信号を反転・演算したい | 反転増幅回路 |
信号をそのまま増幅(反転なし) | 非反転増幅回路 |
入力信号に負担をかけたくない | 非反転(インピーダンスが高い) |
加算や減算をしたい | 反転(複数信号を混ぜられる) |
~~実生活でイメージしてみよう~~
非反転増幅回路は
「マイクの音をそのまま大きくする」ような使い方
反転増幅回路は
マイクの音を逆相にして重ねる
⇩
音が消える
⇩
ノイズキャンセル
「複数の音を足して処理する」ようなとき

さらに補足すると、
状況 | 起こること |
信号が「反転入力(−)」に入っている | 出力が反転される(出力は逆符号) |
信号が「非反転入力(+)」に入っている | 出力が反転されない(そのまま増幅) |

なぜ反転させたいの?
理由 | 説明 |
✅ 信号の向きを合わせるため | プラス⇔マイナスを変えて機器と整合性を取る |
✅ ノイズ除去などの差分処理に使うため | 差を取るには一方の信号を反転して加える必要がある |
✅ 設計上シンプル・精度が高いため | 抵抗2本で簡単・安定して増幅できる |
✅ 信号を打ち消す目的で使うこともある | 同じ信号を反転して加えるとキャンセルできる |

なぜ反転されるの?
反転増幅回路で起こること
①信号を反転入力(−)に入れる
⇩
②非反転入力(+)は0V(GND)に接続
⇩
③オペアンプ出力の一部が戻ってきて、V−が0Vに保たれるように出力が動く
「③」の際に行われていること
- 機器からの入力と、出力から戻ってきた値の差を非反転入力0Vと比べる
- 非反転入力0Vと比較して、差のほうが大きければマイナス出力、小さければプラス出力して0Vに近づける
- 結果として、出力は入力の反対の符号になる(=反転動作)
つまり、「反転入力に信号を入れて負帰還する構成だから」反転動作になる。
負帰還

負帰還ってなに?

出力信号の一部を「ー入力」に戻すことで、出力を抑制・安定させる方法です。

なぜ安定するの?

負帰還をかけることで、オペアンプ内部の非常に大きな増幅率(例えば10万倍など)が、「出力がちょうどよくなるように」自動的に調整されるようになります。

よくわからん…
~~エアコンの温度調節~~
【状況】
あなたの部屋にエアコンがあります。
設定温度は 25℃ にしています。
部屋に温度センサがあり、現在の温度(実際の出力)を常に測っています。
【センサの動き】
オペアンプの「-入力」
【制御の仕組み】
設定温度(25℃) ⇒ オペアンプの「+入力」
現在の温度(例えば26℃) ⇒ オペアンプの「-入力」
【どう動く?】
現在の温度が 26℃ だったら、設定より高い
⇒オペアンプは「温度下げろ」と命令
現在の温度が 24℃ だったら、設定より低い
⇒オペアンプは「温度上げろ」と命令
このように「現在の状態(-入力)」を見て調整し、設定値(+入力)に近づけていくのが負帰還の考え方です。
負帰還とは「ズレを見て自動で修正する仕組み」のことです。
電源

増幅させるための動力源はいらないの?

増幅には「動力源(=電源)」が絶対に必要です。
オペアンプは、入力された小さな信号を「大きな信号に変換する」ためのエネルギーをどこかから得なければいけません。
でも、入力信号そのものには、それほど大きなエネルギーは含まれていませんよね。
そこで、オペアンプは「電源」からそのエネルギーを供給してもらって、出力信号を作り出すのです。
※電源電圧以上の出力を出すことはできません。
余談
項目 | オペアンプ | オペアンプIC |
意味 | 増幅する回路そのものの概念 | それをICにまとめた電子部品 |
形として存在する? | 回路図や説明上の存在 | 実際に売ってるパッケージ化された部品 |
例 | 差動増幅、反転増幅、加算回路などの設計 | LM741, TL082 などのIC部品 |
おわりに
オペアンプは「使い方を覚えると一気に電子回路の幅が広がる」超便利なパーツです。
最初は「反転増幅」や「非反転増幅」などの基本から試してみるのがおすすめです!
でわっ!!
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